教育へのあくなき情熱

斎藤孝先生は、「声に出して読みたい日本語」「3色ボールペン」など、いろんなキャッチワードを生み出しながら、ものすごい量の本を世に出版し続けています。
最近は、「質問力」「コメント力」など、「ほにゃらら力」っていう言葉も生み出したし、よく使っていますよね。


教育学者としての斎藤先生の、ひとつの集大成と言ってもいい本だと思います。


教育力 (岩波新書)

教育力 (岩波新書)


学校の教師に限らず、社会のあらゆる面で、ひとを育てる、教育に携わる、そういった人たちすべてへのメッセージととらえてもいいと思います。
そして読んでいて気持ちがいいのは、なによりも、斎藤先生が、ひとを育てること、教育への情熱をずっと燃やし続けていて、それが文章にあふれ出してきていること。


僕は読んでいるだけなのに、一緒になって、気持ちの高ぶりを感じることができる。
そんな文章での表現ができるひとは、そうそういない気がする。


教師(の役割を担うもの)にとっては、教えるコンテンツも大事だけど、教える空間や身体性(上機嫌でオープンな姿勢かどうか)も大事、という。
これは、企業組織においてもじゅうぶんに通用する話であり、研修やOJTをどうデザインするか、ってことにも絡めて、よく考えてみなくちゃ。


あらゆる社会人が、読んで決して損することのない本である。



斎藤孝先生の本を、このところいくつか続けて読んだ。

原稿用紙10枚を書く力 (だいわ文庫)

原稿用紙10枚を書く力 (だいわ文庫)

原稿用紙10枚の文章を書くには、その前にしっかりと組み立てなくてはいけない。組み立てるには、しっかりと幅広く読まなくてはいけない。そうするとおのずと、自分の知識の幅も広がっていくし、情報の取捨選択するなかで、頭が鍛えられるよ、という内容。


話し上手 聞き上手 (ちくまプリマー新書)

話し上手 聞き上手 (ちくまプリマー新書)


3日間の合宿形式でおこなわれる、聞く訓練、話す訓練の様子を本にしたもの。
もし実際にこの3日間の合宿が日本全国でおこなわれるならば、きっと希望者が殺到して
斎藤先生はそれだけで一生食っていける(もうすでにそうなっているか!)だろう。
自分も、絶対参加したい!!と思わせるだけの訓練、研修コンテンツがここには詰まっている。


子どもむけ(小学校高学年かな)の本。
偏愛マップというものの作り方が、子どもにもわかるように、詳しく書いてある。
自分が好きなものを、一枚の紙に表現して、お互いに交換すれば、ほら、そこからコミュニケーションが生まれるでしょ、という、大人でもやってみよう、って思わせるようなツールアイテムを提案してくれている。




斎藤先生について、印象的なことを記す。
折に触れて、いろいろなところに

「20代、30代は、論文を書いても書いても誰にも見向きもされず、暗黒の時代だった。苦しかった。いまに見ていろ、と歯を食いしばって耐えたあの時期があるから、今の40代がある。いま、少し世間で注目されたからといって、こんなものじゃない、あの時代のつらさを取り戻すにはまだまだ、もっともっと陽のあたる場面で活躍しなければ割りにあわない」

という主旨のことをコメントしています。
きっと、東大法学部を出て、東大大学院教育学研究科に在籍していた時代のことを言っているんだよね。
少しは東大大学院教育学研究科のことを知っているから、斎藤先生が受け入れられなかっただろう環境や雰囲気のことも、理解できる気がします。


でもそのときの悔しさ、つらさ、をバネにして
これだけ僕に感銘と納得を与える良い本を生み出し続けてくれるのだから、
現在への伏線、と見ることもできますよね。
自分自身も、無理やり重ねちゃうと、これからの約10年、30代は辛抱の時代になることと思う。でもそこで腐ったりせずに、歯を食いしばって、人生を生きていくことだね。うん、いいお手本の先生を見習っていこう。斎藤先生とはレベルが違いすぎるけど、さ。



斎藤先生は、塾も開いているんですね。


「斎藤メソッド」


娘を参加させたい!!と思ったのは、いかにも早すぎ?
5年は早いね。



斎藤先生は、電子辞書をうまく使うといいよ、とよく書かれている。
感化された単純な夫婦が、最近、これを買いましたとさ。

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でもやっぱ、結構便利よ、電子辞書。